平田恵子の ABC南風
    
Vol. 8 Hati-hati (ハティハティ=注意する)
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 バリは神々の島とはいえ、空港に降り着いたときから、注意することがいろいろある。インドネシア語でhatiは「心」。Hati-hati!と重ねれば、「注意して!」「気をつけて!」の意味になるのがおかしいが、笑ってもいられない。

 到着したばかりで、きょろきょろしていると、いつのまにかポーターらしき男が、スーツケースに手を伸ばしている。適当な場所まで運んで、「ゴヒャクエン、ゴヒャクエン」と手を出す。初上陸(?)だと、戸惑いつつも渡してしまう人も多い(私の友人親子ほか)ようだ。しかし、日本の500円は約3万8000ルピアとなり、屋台そば30食分以上、ホテルで1日中働く清掃係の日当を越える。チップをあげるなら、1000ルピア程度に。荷物は手から離さないこと。白タク運ちゃんの勧誘にも、hati-hati。到着口の右に、タクシーチケット売り場があるので、ホテルの迎えがない場合は、こちらへ。

 さて、バリ滞在中ずっと気をぬかず、hati-hatiしなくていけないのが、容赦なく襲いかかっている強烈な紫外線である。

 どれだけ非道かといえば、昔まだ日本人が少なかったころ、ビーチで無防備にも上半身裸になって日光浴していたら、夜にはどこもかしこも火ぶくれとなり、3日3晩はシーツがかすれても痛くて、痛くて寝られないことがあった。 


 最近では、背中を浮かした状態でシュノーケリングしていたとき、熱帯魚の美しさに夢中になって、つい時間を忘れ、気がつけば背中がカチカチ山となってしまった。潜れないシュノーケリング初心者は、Tシャツ着用をお忘れなく。

 ともかく、白人系の観光客は太陽光線が好き。「私はリゾートを楽しんでるわ!」とばかりに半裸で外を歩いているし、ビーチでは時々トップレスも。地元の人は浅黒い。彼らに比べると、まだまだ日本人は白くて、日焼け止めもファンデーションも塗っているし、「まっ、ちょっとならいいか?」と油断して直射日光を浴びてしまうことになるため、帽子とペットボトル入りの水は、必需アイテムである。
 
 つまり、何となく肌が汗や皮脂でべたついている感じなので、たいして乾燥していないようにも思えるのだが、水分は南国の熱に煽られ頭のてっぺんからもどんどん蒸発している。そして、肌は砂漠化が進み、ゴワゴワに干涸びかけているのだ。紫外線への対抗にメラニンもいっぱいできているので、これを放置すれば3か月後にはバリ島マークの大きなしみが浮き上がってくる。深いしわの要因も作られる。

 私はといえば、「自然派おばさんのヒョウ柄あれ肌」と、「hati-hati おばさんの柄なし白ネコなめらか肌」の両タイプ女性を何人か知っているので、(口には出せないけど、ああはなりたくない!)、(ああいう肌でいたいもの!)と思いつつバリタイムを過ごしている。化粧水の大量投入によるhati-hatiお手入れと、バリ・エステ、パパイア食とストレス解消で、年のわりには、なんとか肌荒れの難を逃れている。

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