平田恵子の ABC南風
    
Vol. 10 Jalan-jalan (ジャランジャラン=散歩する)
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 私は、田舎の何気ない小道をぶらつくのが好き。で、ウブドでは幾つかの散歩コースをもっていた。インドネシア語でjalan(ジャラン)は「道」、重ねてjalan-jalanとなると、「散歩する」の意味になり、笑える単語となるのだが、けっこう笑えない道が、かつてあった。

 それは、宿から大通りを南下し左折する「山あり谷ありペジェンへの道」である。毎年1月、この道を散歩して、急な坂道を下って橋の上から深い渓谷を覗き込んだ後、山肌から湧く清水でマンディする村の男の肉体をちらと見て、また坂を登りきったさらに上の丘にある小さい村の入り口にある魔女ランダの石像を見るのが楽しみだった。

  石像は島のどこにでもあるのだが、作者によって完成度や表情がちがう。私は、これまで見たたくさんのランダの中で、ここの石像が、高尚でありながら怪しく愛らしく、最も気に入っていた。風雨にさらされ、苔むした年代ものの感じもよかった。
 
 問題のjalan(ジャラン=道)なのであるが、約10年前、ウブド地区の観光発展に伴ってであろう坂の手前の道路脇は、てんでに投げ捨てられたゴミ捨て場となっていた。ちょうど村はずれの毎年ゴミ捨て場は、大きく汚く悪臭がたちこめ、ある年は腰が抜けそうになった。遠くから見ると、ゴミ捨て場付近に灰色のもやがかかっており、ここを通らなくてはランダを見れないので、近づくや、実はハエの大群が発生して嵐のように飛び回っていたのだった。

 目と口を閉じて、その場を駆け抜けた。その翌年、どうやら開発の手が入ったらしく、ゴミ捨て場は跡形もなくなり、山肌を削って、ホテル建設が進められていた。さらに2年後の2002年、やしの森と渓谷美を望む超高級リゾートMaya Resort http://www.mayaubud.com がオープンしていたのだ。

 入ってみると、すごい広さで、なんと元ゴミ捨て場の入り口から建物まで、ジャラン・ジャランすれば10分はかかるアプローチロードが続いていた。2006年現在もそうだが、両側に色鮮やかな花が咲き乱れ、やしの並木が配されて、熱帯庭園のよう。敷地内は大自然の地形を巧みに生かした洗練極まる癒しのパラダイスだ。

 最近は、気が向けば、ホテル内のカフェで超高級リゾート感を味わったり、庭で写真を撮ったり、いろいろ楽しませてもらっている。豪奢なエステも、渓谷美を眺めるプールもある。しかしながら、ときに、野良犬の親子がえさをあさっていた昔の道の風景が蘇ってくる。

 それにしても感動すら覚えるのは、地形とロケーションからあの場所に目をつけた開発業者の「蛇の道はヘビ」的な臭覚である。

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