No. 9 Asongan (物売り)
■今回のフレーズ
Ini, satu berapa? これ、1ついくらですか?。
■関連単語
asongan :物売り (pedagang asonganともいう)
■MAYUMIのコラム
2008年の年末から年明けにかけて、3年ぶりにインドネシアに行ってきました。7泊9日の旅程で、ジャカルタ、ジョグジャカルタ、バリの3都市を訪れる強行軍でした。久しぶりのインドネシアのため、インドネシア人の友達に会うことに大半の時間をかけ、特にジャカルタではのんびり買い物する時間も取れないほどでした。とはいってもインドネシア。友人に会う以外にも楽しみはいっぱいあります。今回はそのなかでも物売りを紹介したいと思います。
物売りはasonganといいますが、簡単に言うと、店を構えずに売り物を自分で携えて売り歩く人のことです。インドネシアではこの物売りがたくさんいます。車に乗っていれば、信号待ちで、新聞やタバコ、キャンディ、ティッシュを売る人が集まってきますし、住宅街にも、ほうきやバケツといった日用品の物売りやnasi uduk(ココナツミルクで炊いたごはん)など食べ物の物売りがいますし、バスや電車に乗っても物売りに出会います。
私が友達に会いに行くためにPATAS ACという路線バスに乗ったときもそうでした。バスターミナルで乗ったので、出発までの間いろんな物売りが乗り込んできては商売をします。バスは時刻表がなく、乗客が7〜8割になるまで出発しないので、その間、物売りがひっきりなしにやってくるのです。たいてい1,000ルピアくらいの安い物で、ティッシュや裁縫道具、髪飾りといった小物から、水や揚げ物、キャンディなどのお菓子や軽食が多いです。”Satu seribu, satu seribu(ひとつ、1,000ルピア)” や"Seribuan, seribuan(1000ルピア)”といった掛け声とともに車内の通路を行ったり来たりします。売り子はそのとき売り物のお菓子などを乗客のひざの上に勝手に置いていくのです。つぎに売り子が戻ってきたときに、欲しかったらお金を払えばいいし、いらなかったら返せばいいのです。
じつはインドネシアでの楽しみのひとつに、バスに乗る、というのがありました。ジャカルタで泊めてもらった知り合いに、「わざわざ時間のかかる(しかも危険な)バスに乗らなくても、車を出してあげるのに」と何度も言われたのに、それを振り切って乗り込んだバスだったので席に着いたときは懐かしさとドキドキ感でかなり浮かれていました。いつもだったら気にも留めない物売りの商品まで、ひとつひとつチェックしてしまいました。
バスの中で買った
タブロイド紙と綿棒(右上)と生姜のキャンディ(右下)
ジョグジャカルタのゲストハウスに売りにきた
bakpaoやlumpia |
さらには買い物までしてしまいました。生姜のキャンディと綿棒(それぞれ1,000ルピア)とタブロイド紙(15,000ルピア)です。タブロイド紙は何種類かあったのですが、女性向けの美容情報紙で私の知っている俳優の写真が表紙のものを選びました。買ってから表紙をじっくりと見て気付いたのですが、セックスの体位について特集をしている号だったようで、新聞売りのおばちゃんがどうりで意味ありげな笑顔でおつりを返してくれたなと思い返し、恥ずかしくなりました。(件の特集の中身は文章のみで、そのへんはインドネシアです)
ほかにもジョグジャカルタのゲストハウスに泊まっているときは、客室の前まで売り子が来ました。中庭があるオープンテラスの宿だったので、朝、部屋の前のテラスでお茶を飲んでいると、bakpao(あんまん)やlumpia(春巻き)の物売りが来ました。
“Ini, satu berapa?(これ、1ついくら?)”と値段を聞いてみると、bakpaoが16,000ルピアもするというので、交渉する気もおきず、追い払ってしまいました(ジャカルタでは以前3,000ルピアで買えたんです。値上げがあったとしても高すぎます。観光客をなめてます)。
また、ちょっと変わった物売りといえば、以前見たものでは、棚をひとつかついで“lemari, lemari(棚)”といいながら、家や下宿が多い通りを歩いてる人を見かけました。黙って歩いていれば、買い物帰りの人だと思いますが、“lemari, lemari”と声を出しているので売り歩いているんでしょう。かなり効率の悪い商売方法です。また車やバスが行きかう大通りでは、路肩にドアを並べて売っているのも見かけたことがあります。いったいどういう人があのドアを買うのか、とても興味深いですね。 |
物売りの話になると話がつきませんが、今回はこのへんで。みなさんもインドネシアに行ったときはぜひおもしろい物売りを探してみてくださいね。
|