No. 5 Bajakan(海賊版)
■今回の単語
bajakan : 海賊版
■関連単語
CD bajakan : 海賊版CD
asli : 本物、オリジナル
■一口メモ
・海賊もbajak。bajakan(海賊版)の語幹です。bajak lautとも言います。
・CDやDVDの発音はスィディ、ディフィディです。インドネシア語のアルファベット読みだと、チェデー、デーフェーデーですが、そうは言わないようです。
・VCDとはビデオCDのこと。CDメディアで容量が小さいのため、映画ならたいてい2枚組になっています。インドネシアのDVDは日本のDVDプレーヤーでは見れませんが、VCDならコンピュータか、VCD対応のDVDプレーヤーで見ることができます。
■MAYUMIのコラム ある日、インドネシアにいる友だちからSMSが来ました。SMSとはショート・メッセージ・サービスの略で携帯電話のショートメールのことです。インドネシアでは携帯メールよりもショートメールの方が盛んなのです。
SMSの内容は、「(ジャニーズの)NEWSの新しいDVDってもう発売してる? 出てるなら正規品の値段と海賊版の値段を教えて」というもの。読み終わった瞬間、思わず苦笑い。インドネシアならともかく、日本ではありえない質問です。とりあえず、「日本では海賊版は売ってないから、正規のやつしか手に入らないよ」と返事します。
インドネシアでも、海賊版のCDやDVDはもちろん違法ですが、当たり前のように売っています。私が通っていた大学の近くにも海賊版CDを売っている店が何軒も並んでいました。市販されている音楽CDのコピー品だけでなく、勝手に編集して何枚ものアルバムを1枚にまとめたCDを売ったったり、客の希望にあわせて好きなアルバムをいくつかまとめてCDにしてくれるサービスもありました。モールやショッピングセンターにも海賊版DVDを売る店が当然のように入っていました。時々、警察の取締にあって、しばらく売り場を閉めることはあっても、しばらくするとまた再開します。これらの店は警察が手入れに来る日を事前に知っているという話もあります。
DVDの中身はというと、たいていが海外の映画やドラマです。日本の映画も多くあります。CDなら国内外のアーティストのものがありました。なぜ、これほどまで海賊版が売れるのかといえば、正規品の値段の高さに尽きると思います。
例えば、モノによって変わりますが、ある洋楽CD1枚の値段は、75,000ルピア(約900円)ですが、海賊版なら8,000ルピア(約96円)です。あるハリウッド映画の場合、DVDなら140,000ルピア(1,680円)、VCD(ビデオCD)でも60,000ルピア(約720円)ですが、海賊版なら5,000ルピア(約60円)です。かなり安いと思いませんか。5,000〜8,000ルピアなら簡易食堂での豪華な一食分とかわりません。確かにパッケージはやや貧弱で、印刷もぼけてますし、CDの場合、歌詞カードはついていませんが、観たり、聞いたりする分には十分でしょう。
ちなみに、インドネシア映画の場合、海賊版を目にすることはほとんどありませんでした。当時はまだVCDが主流でしたが、正規品なら30,000ルピア(360円)しない値段でした。もともと安いからなのか、インドネシア映画の人気がないからなのか、海賊版が見当たらない理由はよく分かりません。逆に音楽CDの場合は国内アーティストの海賊版も多く売ってました。正規品の値段は35,000ルピア(約420円)くらいだったと思います。映画よりも音楽CDの方が高いというのが変な感じです。
インドネシアでこれだけおおっぴらに売られている海賊版ですが、違法であることに変わりはありません。映画館へ行くと、映画が始まる前に、「海賊版を作って売ることは犯罪です。海賊版を買うことも犯罪です」といった内容の広告が必ず出ます。啓発活動はそれなりに行われているようですが、インドネシア人が海賊版は犯罪だと認識し始めているかというと、冒頭のようなSMSが来ることからも分かるように、まだまだ道のりは遠いなあと思います。
※ここで書かれたDVDなどの値段と円レートは2004年〜2006年頃のものです。
インドネシア映画『Jomblo』のVCDです。
正規品はホログラムのシールが張られています。
パッケージの左下にあります。 |
シールの部分を大きくしてみました。
このシールはVCDだけでなく
CDやDVDにも貼ってあります。
たまにシールがない正規品もありますが。
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