このとき初めてジャカルタで洪水があったことを知り、私はbanjir(洪水)という単語を覚えました。私がジャカルタに来たとき、都心部の洪水は収まっていましたが、海に近い低地はまだ冠水していたのでした。養殖どころの話ではありません。
さて、そのジャカルタ訪問から数年がたち、インドネシアに留学してまだ数カ月の頃のこと。下宿近くのwarnet(インターネットカフェ)から帰ろうと外に出ると大雨が降っていました。ちょうど雨季のため、雨はものすごい勢い降っており、傘を持ってこなかった私は帰りあぐねていました。結局、同じように帰れなくなった近所の友達と一緒にwarnetの前のベンチに座って雨がやむまで待つことにしました。
雨の勢いは衰えるどころかますます激しくなり、warnetの前の道の排水溝はあっという間に溢れ始めます。20分足らずの間に、車が1台やっと通れるほどの細い道は泥の川と化し、泥とゴミまみれの水が流れていきます。道は完全に冠水し足首まですっぽり浸かりそうです。
その時、友達が“Wah, Banjir nih.(あ〜冠水してるよ〜)”と言いました。私はbanjirといえば「洪水」だと思っていたので、こんな程度でもbanjirって言うんだ、と新鮮でした。どうやら、水に浸かってる、水が溢れているくらいの場合でもbanjirと言うようです。 |
ジャカルタ北部の高級住宅街クラパ・ガディン地区での洪水の写真
(2007年2月コンパス紙より) |